悩みを抱えて苦しんでいる時は、誰かに聞いてもらうだけで半分はラクになるものです。聞いてあげるだけなら誰にでもできます。黙って耳を傾けて支えてあげなさいと、教えて下さった方がいます。
予測できた問題ならまだいいのです。多少なりとも心の準備ができているから、うろたえずにすみます。ところが青天の霹靂ということわざもあるように、人生には“まさか”という坂が突然姿を現すことがあります。
一人で背負うには重すぎる、ヘタをすれば潰される・・・。命取りにもなりかねません。普通の人なら、夜も眠れない、食事も喉を通らないということになるのでしょうね。
そんな時には本当にただ黙って聞き流して下さる方が傍にいたら随分救われます。昔の人が「胸のつかえが取れた」と言っていたのはこのことだったのでしょうか。
何も言わずに聞き流すだけ・・・。そう、吸い取り紙のように受け流していただくと、少しずつ心が落ち着いてきます。そして自分で解決策を見いだせるようになるようですね。
私自身問題にぶつかる度に、そのように聞き流して下さる方に恵まれてきました。中には黙って聞くだけではなくて、相手と場所が変わったら気分転換になるよと、お茶に誘って下さる方もおられましたね。
茫然自失、自分一人の力では一歩も踏み出せないでいる時には、そのような心遣いはとてもありがたいものでした。お互いのことは知らないけれど、治療に通っていた重症患者どうし、テイータイムを楽しみ、元気を出したこともありました。でもいつまでもそれではどうにもなりません。なんといっても、もう後がないのですからね。
ある時、黙って話を聞いて下さってニッコリ笑って一言。「ピンチがチャンスですよ!」と言って下さった方がいました。
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私がこんなに心身共にボロボロになっているというのに、それはないでしょう!と反発さえ覚えましたね。窮地にある人に「頑張れ」という言葉は禁句だと言われますが、「ピンチがチャンス」も同じようなものだろうと思ったのです。ところが5年、10年とたつうちに、これは“ベストアンサー”であったことがわかってきました。
少しずつ自分を取り戻して、どんな小さなことでもいいから、目の前にある“自分にできること”を一つずつやり遂げていく。そうしていたら一人、また一人と助っ人が現れて、今まで自分の中に眠っていた何かを引き出して下さったように思います。
「火事場の馬鹿力」ということわざがありますが、人間一生懸命になったら思わぬ力を出すことができるようですね!
最後に、一輪の花が生きる元気を与えてくれることもあることを、ここに加えておきたいと思います。
しばらく姿を見せなかったYさんが、やってきました。「元気だった?」と声をかけたのですが、無言で裏庭のさざんかの下まで私を引っ張って行きました。
お孫さんが自殺されて、ショックでここ数ヶ月立ち上がることができなくて、入院していたとの事でした。慰めの言葉もなく、黙って話を聞いて、きれいに咲いていたパンジーを差し上げました。
「どんな言葉よりも癒されます。ありがとうございます」の一言が心に残っています。
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