ナツメブログ

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庶務係長は鍵師がお似合い?

私が二十歳くらいの時、Sさんが庶務係長として転勤してこられました。40代半ば、子供さんの進学の都合とかで、単身赴任の方でした。

食事は会社の食堂で三食OK。また工場の敷地内に社宅もあったので、あまり不便は感じなかったと思うのですが、寂しがり屋だったように思います。

お昼休みに中庭でばったりお会いした時に、あれこれ話しかけてこられました。ご家族のこと、趣味のこと・・・。きっと誰かに聞いて欲しかったのでしょうね。

そして、ご自身の特技についての話になった時、少し声を落として言われました。

「実は、私はどんな鍵でも開けることができるのです。でもこれはナイショですよ、ここだけの話。何かあった時に疑われると困りますからね」と念を押されて別れました。

ところがなんとしたことでしょう。数日後に、どうしてもその特技を発揮して貰わねばならないことが起きてしまったのです。

私の事務所のダイヤル式ロッカー、今まで一度も鍵をかけたことはなかったのに、誰かが間違えて鍵をかけてしまったらしいのです。

社内には電気・営繕・ボイラーと専門職は揃っていましたが、残念ながら「鍵師」はいませんでした。

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ロッカーをすぐにも開け、必要な書類を取り出さなければならないという、切羽詰まった状況にあって、上司はとても困っていました。

私の頭の中では、Sさんの顔が、出たり、引っ込んだりしていましたが、絶対に口外しないという約束が、足かせになっていたのです。

でも状況は待ったナシ。勇気を出してご本人にお願いしました。

さすがに年の功ですね。「仕事柄こういう場面に出くわすことが時々あるんです。何とかならないか・・・と、見よう見まねでやっています。できるかどうか・・・」とフォローして下さいました。

ロッカーの前に立ったSさんのなんとまあ真剣な表情。ダイヤルを右に左に、少しずつまわして、あっという間に鍵を開けて下さいました。

経験がないのでわかりませんが、ダイヤルをまわした感触でわかるのだそうです。鍵師は手先の器用な勉強熱心な人、またフットワークが軽く健康な人が向いているそうです。

「芸は身を助ける」という言葉がありますが、ピンチの時の一芸は本当に光りもの。周りの人たちにも大きな恩恵をもたらしてくれました。感謝!


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