裏庭にでて山椒の木を見ると“コロちゃん”のことを思い出します。“コロちゃん”というのは青虫君に私がつけた名前。
○○がない!外出は控えて・・・と、かつて経験したことのない恐怖に世界中が怯えました。誰もが鬱々とした毎日に息が止まりそうになっていましたね。
そんな暗い話題ばかりの時に、突然救世主のように我が家の庭に現れた青虫君にぴったりの名前だと思ったのです。たった75Cmの小さな山椒の木を舞台に12日間のドラマは始まりました。
【5月15日(金)】
私とコロちゃんの出会いは1枚の写真から始まりました。5月15日、インスタグラムに「山椒の実」の写真を投稿しました。普通なら写真を見直すこともなく、これで終わりの筈だったのですが・・・。運命のイタズラというか、2つのコメントが入りました。
「へェ~、始めて見ます」「我が家の山椒の実はこんなになりません」というコメントでした。
もう一度写真をよく見てお返事しよう・・・とその写真を見たとき、私は驚きました。そして笑ってしまいました。そこには予想もしないものが写っていたのです!目を凝らしてよく見て、ますます笑ってしまいましたね。
▲写真を撮っている時は、山椒の葉が繁っているだけと思っていたのですが、なんとそこには上手にかくれんぼしている青虫君がいたのです。アゲハチョウの幼虫が何処に居るか分かるかな?
以前、「擬態」という事を聞いたことがあります。これがそれだと思いました!擬態とは、生物が「自分を何かに似せる」ことで、自分の体を守る方法だそうですが、本当に上手な目くらましだと感心しました。
写真というものがなかったら気づくこともなかったのですが、カメラってすごいですね。証拠写真ではないけれど、ごまかしはできないなと思いました。口に、かじりかけの山椒の葉っぱを、まるでぺろりと舌を出したような格好でくわえている姿は、なんともユーモラスでしたね。
イヤ~面白い!愉快だ!と思い、この青虫君を羽化まで観察する事にしました。
ところが、夕方山椒の所に行って見ると、小鳥にでも食べられたのか青虫君は行方不明。残念・・・と、ふと横を見ると、そこには小さな幼虫・黒虫君がいました。この鳥の糞のような姿も、実は鳥に食べられない為の擬態だそうです。どうやらアゲハチョウの幼虫は生まれた時から知恵があるようです。
同じ木にいるから弟君か?まあどうでもいいやとネットをかけて様子を見ることにしました。
【5月21日(木)】
黒虫君は体長1、7Cmとかなり大きくなりました。
【5月22日(金)】
朝食を終えて行ってみると、なんとそこにいたのは黒虫君ではありませんでした!華麗なる変身を遂げた青虫君がいたのです!まるでぬいぐるみのように可愛い青虫君。モコモコとしたしぐさがなんともいえませんでしたね。
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この姿を見て《青虫コロちゃん》と命名しました。
ユーモラスな顔、モコモコとしたぬいぐるみのような体で、器用に山椒のトゲの間を歩く様はなんともいえませんでしたね。美味しそうに山椒の葉を食べていました。
ちなみに山椒のトゲを計ってみたら、1、5Cmありました。よくあの柔らかな体に穴が開かないものだと感心しましたね。
ところで、大食漢とは聞いていたけれど、コロちゃんはいつ食事をしているのかな~と気になって、時々様子を見ることにしました。
まあ、それは驚くばかりの食欲でした!モグモグ、ムシャムシャ・・・と一日中食べている様子で、まだ小さな我が家の山椒の木は上からドンドンハゲに・・・。コロちゃんが通り過ぎた後は針の山が残っているだけの状態でしたね。
【5月23(土)】
あんまり可愛いので、長男に写真を送ったら「動画を撮ってみない?」と勧められました。写真さえ怪しいのに大丈夫かなぁと不安でしたが、なんとか可愛いコロちゃんの動画を撮ることができましたね。
あとはさなぎになって、羽化を待つだけね・・・と喜んでいたのですが、予定は未定。数日後に予期せぬお別れの日が近づいていることに、私は気づきませんでした・・・。
【5月26日(火)】
午後3時過ぎに、山椒の木の支柱を伝って地面近くに降りていたコロちゃん発見。
もしかしたら、もうすぐさなぎになるのかな?青虫はさなぎになる時には、好みの場所へ移動するために、今までいた木から離れる事がある・・・とネットに書いてあったもの・・・と、山椒の木を覆っていたネットをチェック。キッチリと押さえました。
ところが、どこかに隙間があったのでしょうかね。夕方行ってみると、そこには大好きなコロちゃんの姿はありませんでした。
青虫君は、自分のお気に入りの場所を探して、かなり遠くまで行くこともあるそうです。そして、さなぎの色は緑色と茶褐色のようです。
もし、近くにいるのなら、さなぎを探して羽化まで見届けたい・・・と木の幹・葉の裏・ブロック塀・・・まで探していたのですが、見つかりませんでした。
かくれんぼ名人のコロちゃんのことだから、きっと安全なお気に入りの場所を見つけてさなぎになっていることだろうと、今は探すことを止めました。長男も「10日以内にアゲハチョウが飛んでいるのを見かけたら、それはきっとコロちゃんよ!」と慰めてくれました。
今思えば、支柱を伝って地面近くに降りて来たのが、旅立ちへの挨拶がわりだったのでしょうね。長男に写真を送り、動画まで撮ったのも、単なる偶然ではなかったのでしょうね。あの動画はコロちゃんから私への記念のプレゼントだったのだろうと思います。
あの、ぬいぐるみのような癒し系の可愛い姿を私のもとに残して旅立ったコロちゃん。その動画も、今日、記念すべき100回の視聴が表示されました。
「ホーホケキョ」のウグイスの声を聞きながら、お食事に夢中のコロちゃんを応援して下さる皆様に感謝致します。ありがとうございます!
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